FPが本音で教える資産運用おすすめ3選|初心者が失敗しないための始め方

資産運用のおすすめ3選

「資産運用を始めたほうがいいとは思っているけれど、何から手をつければいいかわからない」

そんな方に向けて、この記事ではファイナンシャルプランナー(FP)の立場から、初心者が本当に始めるべき資産運用の方法を本音でお伝えします。

銀行や保険会社のサイトとは異なり、特定の金融機関に誘導する目的はありません。本記事は、保険や家計の見直しなど「暮らしとお金」の相談に10年以上関わってきた実務経験を持つFP・渡邊 正芳氏に監修いただいています。

相談現場で実際に見てきたリアルな事例をもとに、失敗しないための選び方と始め方を解説します。

目次

まず確認:あなたはなぜ資産運用を始めたいのか?

資産運用を始める前に、「何のために・いくら必要か」を整理することが最初の一歩です。目的によって、選ぶ商品も運用期間も変わります。

主な目的と、それぞれに適した運用の方向性をまとめると以下のようになります。

目的目安の期間適した運用の方向性
老後資金の準備20〜30年以上NISA・iDeCo・インデックス積立
教育費の準備10〜15年NISA(つみたて投資枠)・定期預金併用
住宅購入の頭金5〜10年リスクを抑えた運用(債券・低リスクファンド)
生活費の補填・副収入短〜中期高配当株・REITなど(ある程度の知識が必要)

「老後のお金が心配」という方が最も多いですが、その場合に重要なのが「実際にいくら必要か」という数字の把握です。

老後の収支ギャップを示すインフォグラフィック。公的年金の平均受給額(月約22万円)と夫婦の月の生活費(約27万円)を棒グラフで比較し、月約5万円の不足・20年間で約1,200万円・医療介護費を含めると2,000万円以上の累計不足を示した図

総務省の家計調査(2023年)によると、65歳以上の夫婦2人世帯の毎月の生活費は約27万円です。公的年金(夫婦2人の平均受給額は月約22〜23万円)との差額は月4〜5万円。これが20年続くと総額で約1,000〜1,200万円の不足になります。さらに医療・介護費用や物価上昇を考慮すると、2,000万円以上の準備が必要というのが現実的な試算です。

「老後2,000万円問題」という言葉を聞いたことがある方も多いでしょうが、これはあくまで最低ラインの試算です。ゆとりある老後を送るには、それ以上の準備が必要になるケースも少なくありません。

まずは「自分には何のために・何年後にいくら必要か」を大まかでいいので書き出してから、次のセクションを読み進めてください。

そもそも資産運用はなぜ今やるべきなのか?やらないリスクの正体

「資産運用はリスクがあるから、やらないほうが安全」と考えている方は少なくありません。しかし、FPとしての立場からお伝えすると、やらないこと自体が大きなリスクになりつつあるのが現在の日本の状況です。このセクションでは、資産運用を始めるべき理由をデータとともに説明します。

日本人の「貯金だけ」がどれだけ損をしているか

金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、単身世帯の30.1%、二人以上世帯の21.6%が、運用等のための金融資産を保有していないと回答しています。また、単身世帯が保有する金融資産のうち約4割が預貯金のみという実態も明らかになっています。

預貯金だけで資産を持ち続けることが、なぜリスクになるのでしょうか。その答えは「インフレ」にあります。

インフレで実質的に目減りするお金の話

総務省統計局の消費者物価指数によると、2025年の年間インフレ率は前年比3.2%に達しています(2025年平均)。また2026年に入っても物価上昇の基調は継続しており、デフレ時代の「現金が一番安全」という常識は通用しなくなっています。

物価が毎年3%上昇し続けた場合、現在持っている100万円の購買力は約24年後に半分になる計算になります。額面は変わらなくても、買えるものの量が減っていくのです。

銀行の普通預金金利が0.1%にも満たない現状では、預貯金だけでは物価上昇に対抗できないというのが率直な現実です。

「資産運用しないほうがいい」と思っている人へのFPからの回答

資産運用をしない理由として、FPの相談現場で最も多く聞かれるのは「生活が精一杯で資産運用に回すお金がない」という声です。次いで「損することが怖い」「知識がないから不安」という理由が続きます。

「必要ない」とおっしゃる方もいますが、よく聞くと上記3つのいずれかの理由も合わせてお持ちの方がほとんどです。

タイプ別に見ると、それぞれ次のような考え方が助けになります。

「お金がない」と感じている方へ

まずは家計の見直しから始めましょう。不要なサブスクや保険プランを見直すことで、月数千円の運用原資を捻出できるケースは珍しくありません。

以前、保険料の削減相談にいらした30代の自営業の男性に「削減できた保険料のうち毎月5,000円を積立投資信託に回しませんか」とご提案したところ、「それならできそうです」と資産運用をスタートされました。

「損が怖い」という方へ

投資にはリスクの大小があります。リスクを抑えた積立型の投資信託であれば、一度に大きな損失が出るリスクを分散できます。「銀行預金もインフレリスクはゼロではない」という視点を持つことが大切です。

「知識がない」という方へ

裏を返せば、知識が身につけば安心して始められます。「まずは授業料と思える少額でスタートして、学びながら続ける」という姿勢が、長期的に資産を育てる第一歩になります。

初心者にFPが本音でおすすめする資産運用3選

資産運用にはさまざまな方法がありますが、初心者の方に「何から始めればいいですか?」と聞かれたとき、FPとして明確にお伝えできる答えがあります。それが以下の3つです。

第1位:NISA×インデックスファンド積立(王道かつ最強の理由)

初心者が最初に取り組むべき資産運用として、NISAを使った低コストインデックスファンドの積立を最優先でおすすめします。

NISAとは

NISAとは、一言でいうと「投資の利益に税金がかからない口座の名前」です。通常、株や投資信託で利益が出ると約20%の税金がかかりますが、NISA口座という「非課税の箱」を使って投資をすると、その税金がゼロになります。口座の開設は無料で、ほとんどのネット証券でオンライン完結できます。

NISAの非課税メリットを示す比較図。通常口座では利益100万円から税金約20万円が引かれ手元に80万円となるのに対し、NISA口座(非課税の箱)では税金ゼロで利益100万円がそのまま手元に残ることを図解

2025年12月末時点でのNISA口座の開設数は約2,825万口座(出典:日本証券業協会)に達しており、今や多くの人が活用している制度です。

NISAをおすすめする主な理由

NISAをおすすめする主な理由は2つあります。まず、つみたて投資枠(年120万円)と成長投資枠(年240万円)を合わせた非課税保有限度額が1,800万円と大きいこと。そして、いつでも払い出し可能で、マイホーム購入や教育費など、老後以外の目的にも柔軟に使える点です。

インデックスファンドの中でも特に注目すべきは信託報酬(保有コスト)の低さです。「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の信託報酬は年率0.05775%以内、純資産総額は約13.2兆円(2026年7月時点)。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は信託報酬年率0.0814%以内、純資産約12.6兆円と、多くの投資家の支持を集めています。

第2位:iDeCo(節税効果が大きい人向け・NISAとの使い分け)

iDeCoとは

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後資金の準備を目的とした私的年金制度です。掛金が全額所得控除になるため、所得税・住民税の節税効果が期待できます。

NISAとiDeCo、どちらを先に始めるべきか

NISAとiDeCo、どちらを先に始めるべきかという質問は、FPの相談現場でも非常に多く聞かれます。

NISAとiDeCoの特徴を比較したインフォグラフィック。NISAは年間360万円の非課税枠でいつでも引き出し可能、iDeCoは掛金全額所得控除で60歳まで引き出し不可・高収入ほど節税効果大。下部に「迷ったらまずNISA」という結論を表示

FPとしての答えは明確です。年金目的で所得税控除を最優先に考えたい人でなければ、まずNISAを優先してください。NISAはいつでも換金できる自由度があるのに対し、iDeCoは原則60歳まで引き出せないという制約があるためです。若い世代ほど、住宅購入や教育費など老後以外にもお金が必要な場面が多く、流動性の高さが重要になります。

iDeCoを先に、またはNISAと並行して優先すべきなのは次の条件に当てはまる方です。年収600万円以上の会社員・公務員は所得税率が高く、掛金の全額所得控除による節税効果が大きくなります。自営業・フリーランスの方は拠出上限額が年間81.6万円と会社員より大きく、国民年金を補完する意味でも有効です。また、老後資金を「強制的に積み立てたい」という方は、引き出せない制約を逆手に取る使い方もできます。

収入に余裕がある場合は、「NISAで教育費・住宅購入などの中短期目標」「iDeCoで老後資金」と目的別に分けて両方活用するのが最も効果的です。

また、iDeCoには口座管理手数料がかかる点や、将来的な制度変更の可能性も考慮して、その人の状況に合わせた判断が必要です。

第3位:個人向け国債(リスクを取れない人の現実的な選択肢)

「元本が減るのはどうしても受け入れられない」という方には、個人向け国債が現実的な選択肢になります。国が発行する債券なので元本割れのリスクが極めて低く、変動10年型であれば金利上昇局面でも利息が増える仕組みです。

ただし、期待できるリターンはNISAの積立投資と比べると限定的です。インフレへの対抗という意味では不十分な面もあるため、「心理的な安心感のために一部を国債で持つ」という使い方が現実的です。

【FP相談現場のリアル】初心者がよくやってしまう失敗パターン

FPとして多くの方の資産運用相談を受けてきた中で、初心者に多い失敗パターンがあります。

ここではファイナンシャルプランナーの渡邊 正芳氏が実際にお客様から受けた相談を例にその失敗パターンをご紹介します。

いずれも知っているだけで回避できるものばかりです。

【始める前の失敗】情報が多すぎて動けなくなる

実は、資産運用の失敗で最も多いのは「始めない」ことです。ネットには「おすすめの投資信託10選」「失敗しない選び方」など情報があふれており、何から手をつければいいかわからなくなって結果的に何もしない、というパターンが非常に多く見られます。

FPとして言えることは、「完璧な選択を探すより、まず始めること」です。NISAで低コストのインデックスファンドを月1万円から積み立てる。それだけで十分なスタートラインです。完璧を求めて行動しない間にも、インフレによる実質的な資産の目減りは静かに進んでいます

また、「目的が曖昧なままハイリスクな商品から始めてしまう」というパターンも見受けられます。「なんとなく増やしたい」という動機で始めると、値動きに動揺しやすく早期に撤退してしまいがちです。前述の「目的・ゴール設定」を先にしてから商品を選ぶ順番が重要です。

【始めた後の失敗1】まとまった資金を一括投資してしまう

初心者に多い失敗が、知識のないまま大きな金額を一括で投資してしまうことです。

実際にあった例:50代の公務員の女性

老後資金を目的に銀行預金500万円を引き出し、証券会社に勧められたファンドへ一括投資しました。その後、基準価格が10%以上下落し、「どうすればいいか」と相談にいらっしゃいました。

積立投資と一括投資のリスクの違いを示す折れ線グラフの比較図。一括投資は高値掴みのリスクがあるのに対し、積立投資(ドルコスト平均法)は下落時も買い続けることで平均取得単価が下がる仕組みを図解

FPのアドバイス

老後資金は安全性を重視して確実に運用することが大切です。下落リスクを抑えたファンドを選び、投資時期を分散できる積立投資信託を中心に資産形成することをアドバイスしました。その後、現在ある銀行預金には手をつけず、積立投資信託を中心に資産形成を続けられています。

一括投資は、積立投資に比べて購入のタイミングに左右されやすく、初心者ほど相場の変動に動揺しやすくなります。まずは少額からコツコツと積み立てる方法を選びましょう。

【始めた後の失敗2】短期の値動きに反応して売ってしまう

投資を始めたばかりの方が陥りやすいのが、一時的な値下がりを見て慌てて売却してしまうパターンです。

実際にあった例:30代の会社員の男性

証券会社に勧められた株式を約100万円で購入しました。その後、株価が一時的に下落したため売却しましたが、しばらくして株価が回復。保有していれば利益が出ていた計算でした。

FPのアドバイス

株式や投資信託の相場は日々変動します。短期的な下落に動揺して売却してしまうと、その後の回復の恩恵を受けられなくなります。「絶対に損をしたくない」という意識が働くほど、売り急いでしまうリスクが高まります。

長期的な視点で運用を続けることが、資産を育てる上で最も重要なポイントです。

【始めた後の失敗3】生活に必要な資金まで投資に回してしまう

「運用益も出てきたから、もっと増やしたい」という気持ちが暴走すると、生活を守るための資金まで投資に充ててしまうことがあります。

実際にあった例:30代の会社員の男性

つみたてNISAで積立投資を始め、運用益が出始めたため他のハイリスクなファンドに預金を切り崩して100万円を一括投資しました。その後、ファンドの基準価格が下落。折悪しく、勤務先の業績悪化でボーナスが大幅減となり、住宅ローンのボーナス払いのために損を承知でファンドの一部を売却せざるを得ない状況になりました。

FPのアドバイス

生活を維持するために必要な資金は、銀行などの預貯金で手元に置いておくことが基本です。投資は「使う予定のない余剰資金」で行うことが、長く続けるための大前提です。

資産運用の主な種類とFP目線のコスト・リスク評価

資産運用の方法は多岐にわたります。ここではFPとして重視している「コスト」と「リスクの特性」という観点から、主な商品の特徴を整理します。

投資信託(インデックス vs アクティブ)のコスト比較

投資信託は、ファンドマネージャーが多くの投資家から集めた資金を運用する金融商品です。大きく「インデックスファンド」と「アクティブファンド」に分かれます。

インデックスファンドは日経平均やS&P500などの指数に連動することを目指すため、運用コストが低く抑えられています。一方、アクティブファンドは市場平均を上回るリターンを目指して積極的に運用するため、コストが高くなる傾向があります。

代表的なファンドの信託報酬を比較すると、その差は一目瞭然です。

ファンド名信託報酬(年率)純資産総額
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)0.05775%以内約13.2兆円
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)0.0814%以内約12.6兆円
アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース1.727%約1.8兆円

信託報酬の0.1%の差が、30年間でおよそ43万円の資産差に広がります(月3万円積立・年率5%想定の場合)。コストは投資家が唯一確実にコントロールできる変数です。将来の運用成績は誰にも予測できませんが、コストを下げることは今日からできます。

FPの視点からは、同じインデックスに連動するなら、信託報酬が最も低いファンドを選ぶことが合理的な選択です。

主な投資商品のリスク・リターン特性

主な投資商品は、リスクの大きさとリターンの期待値が比例する関係にあります。一般的には国内債券が最もリスクが低い反面、期待リターンも小さくなります。海外債券、国内株式、海外株式の順にリスクとリターンが高くなります。

初心者の方は、まず「どのくらいの値動きなら精神的に耐えられるか」というリスク許容度を把握した上で、商品を選ぶことが大切です。

FPが実際に評価する商品選びの3つの基準

FPとして投資信託を評価する際、優先度の高い順に確認する事項は以下の3点です。

まず最も重要なのが運用方針です。そのファンドがどのような投資対象に、どのような目標で運用されるかを確認します。インデックス型かアクティブ型か、どの地域・資産クラスに投資しているかがポイントです。

次にコスト(信託報酬・販売手数料)です。信託報酬は年率0.5%〜2.0%が一般的ですが、ネット証券では販売手数料が無料(ノーロード)のファンドが主流です。できる限りコストの低いものを選ぶことが長期的な資産形成では重要になります。

そして純資産総額の推移も確認します。純資産総額は30億円以上で、過去3年間増加しているファンドを目安にしています。純資産が減少しているファンドは、繰上償還(ファンドの早期終了)のリスクがあるため注意が必要です。

【年代別】FPが考える資産運用の優先度と月いくら積み立てるべきか

「自分の年代でも間に合いますか?」という質問も、相談現場でよく受けます。年代によって資産運用の優先度や適した方法は異なります。ここでは年代別のポイントと積立シミュレーションをお伝えします。

20〜30代:時間を最大の武器に。月1万円でも始める理由

20〜30代の最大の強みは「時間」です。積立投資の成果は時間が長いほど複利効果が大きく働くため、少額でも早く始めることに大きな意味があります。

月1万円を年率5%で運用した場合、20年後には約411万円(元本240万円)、30年後には約832万円(元本360万円)になる計算です。元本に対して2倍以上になる差は、複利効果がいかに強力かを示しています。

まずはNISAのつみたて投資枠で月1万円からスタートし、収入が増えるにつれて積立額を増やしていくのが現実的な進め方です。

40代:教育費と資産運用を両立する考え方

40代は教育費など支出が膨らむ時期です。無理に投資額を増やすより、生活費と資産運用のバランスを保つことが重要です。

月3万円を年率5%で30年間積み立てた場合の資産推移グラフ。元本(積み立て実額)と運用益(複利で増えた部分)を色分けして表示し、30年後に元本1,080万円が約2,497万円に成長する複利効果を視覚化(年率5%・税引前の試算)

月3万円を年率3%で30年間運用すると約1,748万円(元本1,080万円)、年率5%なら約2,497万円になります。老後まであと20〜25年ある40代でも、十分に資産を育てる時間はあります。「今からでは遅い」と思わず、できる範囲で継続することが大切です。

50代:「今から遅い」は本当か?FPが見てきた50代からの成功パターン

「50代からでは遅すぎる」と感じている方も多いですが、FPとしての経験から言うと、50代からでも着実に資産を育てることは十分可能です。

50歳から運用を開始した場合、定年が65歳であれば15年間の長期投資が可能です。年利3%で15年間運用すれば、元本は1.56倍になります。

50代で資産運用がうまくいった方に共通しているのは「大きな運用益を狙わず、資産をどれだけ残すかに重点を置く」という考え方です。目先の損得に動じず、長期的な視点を持てる方は、50代からでも着実に資産を増やせる可能性が高いといえます。

逆に難しいのは、退職金などまとまった資金をハイリスクな商品に一括投資してしまうケースです。50代での失敗は運用期間が短い分、取り返しがつかないことがあります。リスク分散と安全性を意識した運用が特に重要です。

【積立シミュレーション表】

金融庁の資産形成シミュレーターをもとにした試算結果です(税引前・毎月複利の概算値)。

月額積立年率20年後30年後
1万円3%328万円(元本240万円)583万円(元本360万円)
1万円5%411万円(元本240万円)832万円(元本360万円)
3万円3%985万円(元本720万円)1,748万円(元本1,080万円)
3万円5%1,233万円(元本720万円)2,497万円(元本1,080万円)
5万円3%1,642万円(元本1,200万円)2,914万円(元本1,800万円)
5万円5%2,055万円(元本1,200万円)4,161万円(元本1,800万円)

(出典:金融庁「資産形成シミュレーター」をもとに算出)

月5万円・年率5%・30年間の運用では約4,161万円に達します。老後資金として現実的な課題を解決できる水準です。

資産運用の始め方【3ステップ】―口座開設から積立設定まで

「始めてみよう」と決意したら、実際の手順はシンプルです。証券口座の開設から積立設定まで、3つのステップで完了します。

資産運用を始める3ステップのフロー図。ステップ1:ネット証券で口座開設(無料・オンライン完結・約10分)、ステップ2:NISA口座を申し込む(無料・審査は数日〜2週間)、ステップ3:商品を選んで積立設定(月1万円〜・設定後は自動)。最短2週間で運用スタート可能

ステップ1:証券口座の選び方(主要ネット証券の比較)

FPとして最低限満たしてほしい条件は「取引手数料が無料」「投資信託の取扱い商品が1,500本以上」「入金コストがかからない」の3点です。この条件を満たした上で、主要ネット証券を以下の軸で比較します。

証券会社クレカ積立ポイント還元率取扱ファンド数(目安)特徴
SBI証券最大5%(三井住友カード)2,500本以上業界最大規模・単元未満株対応
楽天証券最大1%(楽天カード)2,500本以上楽天ポイント連携・日経テレコン読み放達
松井証券なし(ポイント別途)1,800本以上50歳以上向けサポートが手厚い
auカブコム証券最大3%(au PAYカード)1,700本以上au/UQ回線ユーザーに相性良し

クレカ積立は、積立購入をクレジットカードで行うことでポイントが貯まる仕組みです。還元率が高いほどお得で、毎月の積立にポイントが自動的に積み上がります。まずは普段使っているカードや銀行との相性で選ぶと迷いが減ります。

ステップ2:NISA口座の開設手順

ネット証券の口座開設が完了したら、NISA口座を申し込みます。本人確認書類(マイナンバーカードまたは運転免許証+マイナンバー通知カード)を用意すれば、ほとんどのネット証券でオンライン完結できます。

審査には数日〜2週間程度かかる場合があります。口座開設が完了したら、NISA口座でつみたて投資枠を選択します。

ステップ3:商品選びと積立設定(オルカン・S&P500の選び方)

口座が開設できたら、商品を選んで積立設定をします。商品選びで迷ったら、信託報酬が0.1%未満の低コストインデックスファンドを選ぶという基準を持っておくと判断しやすくなります。

「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は1本で世界中の株式に分散投資できる商品です。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は米国の主要500社に集中投資する商品で、長期的に高いリターンの実績があります。「世界全体に広く分散したい」ならオルカン、「米国経済の成長に集中したい」ならS&P500が選択肢になります。どちらを選んでも、長期積立という観点では大きな差はありません。

積立設定は月々の金額と購入日を指定するだけで完了し、あとは自動的に買い付けが行われます。

資産運用を成功させるFPからの4つのアドバイス

資産運用を長続きさせるために、FPとして相談現場で繰り返しお伝えしていることがあります。シンプルですが、これらを守るかどうかで結果に大きな差が出ます。

余剰資金の定義と「生活防衛資金」の正しい設定方法

投資を始める前に、まず「生活防衛資金」を確保することが大前提です。生活防衛資金とは、病気やケガ・失業などで収入が途絶えた際に生活を賄うための備えです。

投資に回せる資金の優先順位を示したピラミッド図。下段が毎月の生活費、中段が生活防衛資金(会社員3ヶ月分・自営業6ヶ月分、子あり会社員6ヶ月分・子あり自営業12ヶ月分)、上段の余剰資金のみが投資に回せることを図解

FPとして断言すると、会社員は生活費の最低3ヶ月分、自営業・フリーランスは最低6ヶ月分が必要です。子どもがいる世帯はさらに手厚い備えが必要で、会社員でも最低6ヶ月、自営業では最低12ヶ月分を目安にします。子どもの教育費は緊急時でもすぐに削れないため、それだけ厚めに準備が必要なのです。

この生活防衛資金を銀行預金などで確保した上で、それ以外の「本当に使う予定のない余剰資金」を投資に回すのが資産運用の基本です。

長期・積立・分散の複利効果を数字で理解する

前述のシミュレーション表が示すように、投資は時間をかけるほど複利効果が強く働きます。月3万円の積立が30年後に約2,497万円(年率5%)になるのは、運用で得た利益がさらに利益を生む「雪だるま式の増加」のおかげです。

重要なのは「タイミングを選ばずに市場に居続けること」です。相場が良いときも悪いときも積立を続けることで、平均購入単価を下げながら資産を育てていけます。

暴落時にどう行動すべきか(FPが相談を受けた実例から)

2020年のコロナショックで世界的に株価が暴落した際、積立投資信託で資産運用中の60代の主婦の方から「このまま積立を続けていても大丈夫?売却すれば損が少ないかもしれないと迷っています」という相談を受けました。

その時点で基準価格は平均取得単価を下回っていましたが、毎月の定額積立によりリスク分散されているため大きな損失が出る可能性は低いこと、このまま買い続けることで1口あたりの平均取得価格が下がることをお伝えしました。

その後、コロナショック前と同じ条件で積立を継続された結果、2020年夏以降に株式市場が上昇局面に転じ、2023年末には当初の目標を大きく上回る収益を達成されました。

暴落は怖いですが、積立投資においては「安い価格でより多くの口数が買える機会」でもあります。慌てて売却するのではなく、計画を守り続けることが長期投資の成功につながります。

定期見直しのタイミングとやり方

資産運用は設定したら完全放置でよいわけではありません。年に1回程度、以下の3点を確認することをおすすめします。積立金額が現在の収入・生活費と合っているか、投資している商品の信託報酬やパフォーマンスに問題がないか、そしてライフステージの変化(転職・結婚・出産など)に合わせてリスク許容度が変わっていないかです。

大きな変更は必要なくても、定期的に自分の資産状況を把握する習慣が長期投資を成功させる鍵になります。

まとめ:不安なく資産運用を始めるための判断基準

この記事で解説してきた内容を振り返ります。

資産運用を始める理由は明確です。インフレが進む現在、預貯金だけでは購買力が目減りするリスクを避けられません。老後に必要な資金(夫婦2人で2,000万円以上が目安)を公的年金だけで賄うのは現実的に難しく、自助努力による資産形成が不可欠な時代になっています。

FPとしておすすめする資産運用の結論は、「NISAのつみたて投資枠を使って、低コストのインデックスファンドを毎月コツコツ積み立てること」です。始める金額は月1万円でも十分です。大切なのは今日始めることです。

始める前に生活防衛資金(会社員なら生活費3ヶ月分、自営業なら6ヶ月分)を確保し、余剰資金の範囲で投資を行いましょう。商品選びに迷ったら信託報酬0.1%未満の低コストインデックスファンドを選び、値動きを気にしすぎずに長期で続けることが成功の鍵です。

より詳細なライフプランや具体的な金額設計が必要な場合は、中立な立場のFPへの相談も一つの選択肢です。証券会社や銀行の窓口ではなく、独立系のFPに相談することで、自分に合った方法を客観的に検討できます。

監修者プロフィール

渡邊正芳

渡邊 正芳(わたなべ まさよし)

ファイナンシャルプランナー・宅地建物取引士

愛知県出身。生命保険・損害保険の代理店を10年間運営し、保険や家計の見直しなど「暮らしとお金」の相談に携わる。その後、事業協同組合に8年間勤務し、少額短期保険・中小企業向け各種カードを取り扱い、福利厚生・経費節減のサポートに従事。2021年よりM’s(エムズ)代表として、保険・資産形成・不動産といったお金に関する情報発信(執筆・SNS運用)や、不動産管理の外部委託業務に取り組む。

保険・共済から資金・財務まであわせて18年におよぶお金まわりの実務経験と、FP・宅地建物取引士の2資格を土台に、資産運用・保険から住宅ローン・不動産投資まで、生活者目線でわかりやすく解説している。

※当記事の事例も渡邊さんの情報による内容が含まれております。

この記事を書いた人

伊藤真二のアバター 伊藤真二 ファイナンシャルプランナー・介護福祉士

1978年青森県生まれ。デイサービスやデイケアセンターで高齢者ケアに従事した後、上京し、テレビ・ラジオ番組やWebコンテンツの制作に携わる。情報があふれる時代に、必要な情報へたどり着けない人々の存在を実感し、正しい情報への道案内を目指してファイナンシャルプランナー資格を取得。現在はFPとして活動する傍ら、メディア運営や編集者としても活躍している。

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